2010年12月25日土曜日

中国石油政策と中国石油天然気集団公司

中国石油政策と中国石油天然気集団公司
      香港H株:0857   本社:北京市東城区安徳路16号
  URL:http://www.petrochina.com.cn  従業員数:419415人
  H株上場  2000年4月7日
      発行価格  1.27HK
      流通H株  1758.242百万株 10.0%
      主要株主  中国石油天然気集団公司 90%

中華人民共和国の国有企業であり、原油・天然ガスの生産と供給、および石油化学工業製品の生産・販売において中国最大の規模を誇る会社である。新セブンシスターズの一社。英語名 China National Petroleum Corporation 。略称 中国石油集団・CNPC。

中国石油業界大手3社の一角;中国では1998年に石油業界の再編が行われ、大手2社がそれぞれ上流、下流部門をもつ一貫操業体制が敷かれている。ペトロチャイナは現在は別会社である。

中国国内では中国東北部や華北、新疆ウイグル自治区などに大型油田・ガス田、
および各地に大型石油化学工場を保有。中国の陸上油田・ガス田が北部に集中していることもあり、原油・天然ガス生産でのペトロチャイナのシェアは、再編後も6割強を維持している。この再編の結果、両者の事業区域は中国石油が中国北部、シノペックが中国南部とほぼ南北に分かれている。

CNPCは事業再構築の過程で、中国国内の資産や事業のほとんどを中国石油天然気股份有限公司
(ペトロチャイナ)に分割・民営化した。

(株式情報)
ペトロチャイナは2000年に香港証券市場およびニューヨーク証券市場に上場したが、
CNPCはペトロチャイナの株式の90%を保有している。香港H株の代表的銘柄
ペトロチャイナは原油と天然ガスの生産にかけては中国最大の企業で、シノペック(0386)と双璧をなす中国を代表する石油関連グループで、その事業内容は、採掘から石油化学製品の製造・販売まで、石油・天然ガス業界の川上から川下まで幅広く手がけている。特徴として、シノペックが石油化学製品などの川下分野に強いのに対し、ペトロチャイナは採掘などの川上分野に強みがあると言われる。

(パイプライン建設が国家プロジェクト・GSを2社で市場独占)
中国インフラ整備事業としては、山峡ダム水力発電プロジェクトに次ぎ、2番目の大型国家プロジェクトで、投資総額は約1兆円に達する、『西気東輸』プロジェクトの天然ガスは、ガスの価格に比べ約半分の値段で調達できる。
ガソリンスタンド事業は、ペトロチャイナとシノペック(0386)の独占状態で、2社だけが中国での新しいガソリンスタンドを開設する権利。
ペトロチャイナの部門は、原油採掘部門、原油精製部門、化学品製造部門、天然ガス部門、その他部門の5つに分けらるが、売上げの内訳は、石油精製部門が60%以上に及ぶものの、利益のほとんどは原油採掘分門が占めており、石油精製部門は赤字です。。
よって、ペトロチャイナの業績は国際的な原油価格によって左右されるという体質となっている。
(石油権益)
中国で埋蔵が確認されている原油の75%(110億バレル)、天然ガスにおいては71%(32兆立方フィート)で独占採掘権を得ている。

財務諸表
       売上高(百万RMB)        営業利益        純利益  総資産(百万)   純資産(百万)  
    総発行株式(百万株)        株価HK  配当    EPS    BPS 
1998年  147,287        35489          15218          315083  78133   175824  1               0.09             0.44     
1999年  181,671 23.34   46487   30.99   26423   73.63   411285  210411  175824  1.2             0.15        73.63   1.20    169.30
2000年  245,279 35.01   85433   83.78   54645   106.81  428080  272957  175824  1.5       
    0.08    0.31        106.81  1.55    29.73
2001年  241,320 -1.61   71139   -16.73  45469   -16.79  462665  290606  175824  1.59   
    0.05    0.26        -16.79  1.65    6.47
2002年  244,424 1.29    72341   1.69    46910   3.17    483149  316676  175824  1.77   
    0.06    0.27        3.17    1.80    8.97

       ROA     ROE     PER     PBR     EBRR    株主資本比率     売上高純利益率   売上高営業利益率 営業CF         投資CF  財務CF  フリーCF 現金の増減       現金相当物残高
1998年         19.48   11.55   2.25           24.80   10.33                                                      15109
1999年  6.42    7       7.99    1.00    1.14    51.16   14.54   25.59   54053          -
    40418  -10896        13635   2739    17848
2000年  12.77   20.02   4.83    0.97    0.23    63.76   22.28   34.83   128849  138.38  -
    60401  -43556        68448   212     18060
2001年  9.83    15.65   6.15    0.96    0.38    62.81   18.84   29.48   111243  -13.66  -
    61491  -29906        49752   -6958   11102
2002年  9.71    14.81   6.63    0.98    0.44    65.54   19.19   29.60   122004  9.67    -
    71662  -27829        50342   -1150   9952


売上高営業利益率は29%、売上高純利益率は19%と、利益率が高いビジネスを展開している。


中国株(香港市場)

石油関連銘柄
0857    石油・石炭       ペトロチャイナペトロチャイナ     
0386    石油・石炭       シノペックコーポ中国石油化工     
0883    石油・石炭       中国海洋石油(CNOOC)CNOOC Ltd.   

(ペトロチャイナ(中国石油天然ガス集団)の海外事業展開)
久々に日の丸油田を獲得か、と報じられたのが、イラク南部にある大型油田「ナシリヤ油田」の開発権益。
イラクは復興資金獲得のため、約40年ぶりに国内の油田・ガス田開発を外資に開放、入札を行っていた。
日本勢は新日本石油ら3社連合で、イタリアの炭化水素公社、スペインの資源大手と権益獲得争いを繰り広げたという。
この「権益」とは何か。石油もそうだが、金属など資源の開発には莫大な費用がかかる。
そこで先進国の企業などが資源国の開発事業に加わり、その出資比率などに応じて産出された資源を引き取ったり、配当金を得たりする仕組み「権益」が生まれた。日本を含めた先進国は、
権益を求めて厳しい競争を繰り広げてきた。特に昨今、ドルを中心とした外貨の蓄積という資本力をひっさげて、中国の台頭が著しい。
 こうした権益の入札によってどんなことが決まるのか。6月末に入札されたイラク・クウェート国境近くに位置する「ルメイラ油田」の情報がある。推定埋蔵量170億バレルとイラク最大のこの油田。落札したのは、石油メジャーの一角、イギリスのBPと中国石油天然ガス集団(ペトロチャイナ)の連合体。契約期間は20年間。鉱区取得費として5億ドル(約450億円)を支払うが、投資コストを回収した後は、1バレルあたり2ドルの報酬が得られる。1日の生産量110万バレルを85万バレルに引き上げ、毎日570万ドル(約5億円!)の収益が保証されることになるという。

これほどの利益だけに、熾烈な競争は当然。では、何が落札を左右するのか。入札額はさることながら、
副次的な周辺支援も重要なポイントだ。冒頭の案件でも日本勢は、油田開発だけでなく製油所や発電所の整備、
資金協力などもパッケージしていたとされる。そしてここで中国が強いのは、油田開発に必要な労働力を安価な
人件費で輸出できること、なのだという。なるほど他にない切り札が中国にはあるのだ。イラクでの入札は、まだ今後も続く。
(リクルートR25資料より)




中国のパイプライン・プロジェクト(アジアインフラストラクチャー総合研究所) 

 1.中国国境~中央アジアへの石油輸送

 中国はカザフスタンにあるニつの油田の原油掘削権(註1)を取得しており、すでに採掘を開始している。現在、年間約100万トンほどが鉄道輸送を通じて、輸入されている。カザフスタンから中国の新彊までの石油パイプラインの全長は約3,000kmほどあり、コスト的に高い。今後、石油の輸送量の増加にともない、パイプラインの建設も浮上することと見られる(註2)。

 一方、最近になって中国石油化工集団公司は、カザフスタン対岸のアゼルバイジャンにある「ピルサガト」油田の権益50%を取得した(2003年6月)。確認埋蔵量は約700万トンと中規模油田であるが、中国企業の同地域における存在感が高まっている。

    カスピ海の油田地帯
 (註1:中国の石油大手2社は2003年3月に、カスピ海北部の巨大油田「カシャガン」(推定埋蔵量380億バレル=左記地図参照)に、英ガス大手の「ブリディシュ・ガス」(BG)がもつ権益(16.7%)を買収することで合意した。しかし、この合意はまだ確定したわけではなく、他の参加各社は5月まで、中国2社の買収を阻止できる権利をもっている(註1‐1)。)

 (註1‐1:中国の石油大手、中国海洋石油はカザフスタンの油田権益の一部を英ブリティシュ・ガス(BG)グループから買収する計画を断念した。油田の他の株主がBGの権益を購入することを決定したため。米エクソンモービルや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、イタリア炭化水素公社(ENI)など既存株主6社が中国海洋の参入に反対した。株主がもつ株式優先購入権を行使する。カスピ海北部油田プロジェクトは、2006年を目処に原油と天然ガスの生産を始める。)

 (註2:今のところ、当初予想されていた中国・新彊のタリム盆地(参照:「タリム盆地の石油・ガスパイプライン網」)からの石油産出が期待されたほどではなかったため、カザフスタンからのパイプラインの敷設は、実行されない可能性が高いとの指摘がある(註2-1)。しかしその一方、タリム盆地における天然ガスの産出は予想の域ということもあり、「西気東輸」プロジェクトが現在、進行中である=参照:本欄「西気東輸プロジェクトの進展」)。

 (註2-1:中国国営の石油天然ガス集団公司(CNPC)とカザフスタンのカズムナイガスは、カスピ海沿岸の原油を中国に輸出する大規模パイプラインの建設を促進する合意文書に調印した(2003年6月3日)。今回の合意文書に基づき、CNPとカザフスタン側は採算性を考慮しつつ、具体的な建設計画づくりに着手する。同計画は両国間で1997年に原則合意したが、採算にのるには年間2,000万トン以上の輸送量が必要とされ、カザフ西部の都市アティラウまで一部区間だけが建設済みであった。今回はこのアティラウから北西部のケンキャク〔約450km〕までの区間を優先して進めることで合意した〔なお、この区間のパイプライン敷設工事は2003年3月に完成している〕。また2003年5月には、次ぎの段階として、カザフスタン中部のアタスから中国側国境のアラシャンコウ(阿拉山口)までのパイプライン建設プロジェクトに着手した。)


 【中国ーカザフスタン、パイプライン建設で調印】

 中国石油天然ガス集団(CNPC)とカザフスタンの国有石油ガス会社・カズムナイガス社は、カザフスタンのアタスから中国の新疆・阿拉山口までの石油パイプライン建設(第2期工事、全長1,240km)に関する協議書に調印した(なお第1期工事区間のアティラウ~ケンキヤク間(450km)はすでに2003年3月に完成)。2004年8月に着工し、完成時期は2005年12月の予定。初年度の原油輸送能力は年間1,000万トン。このパイプラインにはロシアも関心を示しており、ロシアはオムスクからカザフのアタスへのパイプラインによる原油輸送を始めた。

 【中国~カザフスタン間の石油パイプラインが着工】
カザフスタンのアタスから中国新疆ウイグル自治区の阿拉山口までを結ぶ中国~カザフスタン間の石油パイプライン敷設工事が2004年9月28日に着工する。パイプラインの全長は約1,000km。敷設工事は、中国石油天然気集団公司とカザフスタンの国営石油天然ガス会社が共同で請け負う。第1期工事にかかる費用は7億ドル。完成は2005年の予定、年間1,000万トンの石油輸送能力が見込まれる。第2期工事は2011年の完成予定。完成後、カザフスタンから中国への石油輸送能力は年間2,000万トンに拡大する。

 ≪2005年段階≫

 【中国ーカザフ石油パイプライン、中国側でも着工】
         
 カザフスタンの西部の都市アティラウから中国新疆ウイグル自治区の阿拉山口までを結ぶ中国・カザフ石油パイプラインの新疆ウイグル自治区部分が2005年3月23日、同自治区精河県で着工した。カザフスタン側はこれより前に、アタスから阿拉山口までのパイプラインの工事に着工している。パイプラインは全長3,000km余り、カザフスタン国内部分が2,800km、中国側部分が240km。投資総額は30億ドル。建設計画によると、アタスから阿拉山口までのパイプライン(約1,000km)は2005年12月中旬に開通予定(地図参照)。年間1,000万トンの石油輸送能力が見込まれる。全線完成後には、カザフスタンから中国への石油輸送能力は年間2,000万トンに拡大する。石油輸入を担当する新疆独山子石化公司は、パイプライン建設と並行して、石油精製工場(1,000万トン規模)とエチレン工場(120万トン規模)の建設を進めている。

 中国~カザフスタン、石油パイプライン・第1期工事連結

  中国とカザフスタンを結ぶ石油パイプラインの第1期工事の本体接続工事(約1,000km)が2005年11月14日、中国側・新疆ウイグル自治区の阿拉山口で連結された(写真参照)。パイプの直径は813mm、年間輸送能力は2,000万トン。
 ≪2007年段階≫
 中国とカザフが石油・ガスのパイプライン建設合意

 中国の胡錦濤国家主席は2007年8月18日、訪問中のカザフスタンで同国のナザルバエフ大統領と会談、両国を結ぶ石油輸送網の延長と新たなガスパイプラインの建設で合意した。胡主席は中ロと中央アジア4ヵ国の結束を掲げた上海協力機構(SCO)の首脳会議後にカザフを訪問。独自のエネルギー外交を展開している。合意したのはカザフ中部のクムコル油田とケンキャク油田をつなぐ石油パイプラインの建設。両国間には2005年にアタスと中国・新疆ウイグル自治区の阿拉山口を結ぶパイプラインが開通しており、ナザルバエフ大統領は「今回の合意でカスピ海と中国西部が連結されることになる」と強調した。カザフ経由でトルクメニスタンと中国を結ぶガスパイプラインの建設でも合意した。ーー(「日本経済新聞」、2007年8月19日)
 (参照サイト):「中国~カザフスタン間の石油パイプラインが建設着工」(出所:「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」HPより)
 ≪2009年段階≫
 中国と中央アジア結ぶ天然ガスパイプライン、操業を開始

 中央アジアのトルクメニスタンと中国を結ぶ天然ガスのパイプラインが2009年12月14日、操業を開始した。中央アジアのガスを中国に供給する初の基幹パイプラインとなる。中国はカザフスタンからの原油輸入も拡大し、エネルギー分野で中央アジアとの関係強化を進める。中央アジア諸国にとっては、これまでロシアに限られていた輸出ルートを多角化し、価格交渉力を高める狙いがある。トルクメニスタンでの開通式典には中央アジア歴訪中の中国の胡錦濤国家主席と中央アジア3ヵ国の首脳が参加した。インタファクス通信などによると、胡主席は「パイプラインは中国と中央アジアの協力の象徴」と述べた。パイプラインはウズベキスタン、カザフスタンを通過。中国までの全長は約1800km。中国は建設中の国内パイプラインで沿岸部まで輸送する。輸送能力は年400億m3。(「日本経済新聞」、2009年12月15日)

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